老いゆく両親に寄り添って③ ~高齢者を取り巻く理想と現実西澤一二(老いの工学研究所・初代理事長)私事ですが、昨年11月に母が、そして今月4月1日に父が他界しました。寄り添う相手を亡くした喪失感には非常に大きいものがあります。「父母のためにもっとあんなことができたのではないか?」「あのとき、あんなことを言わなければ良かった。」などという想いが後から後から湧き出てきます。それと同時に、両親がともに要介護という過程を経て亡くなったために、息子として、亡くなるまでの数年間に少しでも関われたことに安堵する気持ちもあります。そして何より、父母には、「よく頑張ったよね。お疲れ様。」と言いたいと思います。母は、島根県の離島に生まれ、中学校卒業後、出身中学の職員を経て来阪。大手電機メーカーの社長宅で住み込...2013.04.22 06:36コラム
老いゆく両親に寄り添って② ~高齢者を取り巻く理想と現実西澤一二(老いの工学研究所・初代理事長)第2回目の今回は、高齢者に特有のリスクについて話したいと思います。私の母は、パーキンソン病に罹患しましたが、実は、前回お話した脳深部刺激治療(DBS:deep brain stimulation)のための入院以外、パーキンソン病を原因として長期の入院が必要になったことはありません。そして、パーキンソン病は徐々に進んでいたので、ヘルパーさんのお世話になることで、父と二人で暮らす自宅での介護について大きな負担感はありませんでした。(実は、このとき既に別の大きな問題をはらんでいたのですが、これについては、別の機会にお話します。)その自宅での生活に大きな変化が起こったのは、母の入院でした。入院の原因は...2013.04.19 06:39コラム
老いゆく両親に寄り添って① ~高齢者を取り巻く理想と現実西澤一二(老いの工学研究所・初代理事長)私は、共働きサラリーマン夫婦の次男として生まれ、贅沢はできないまでも特段の不自由もなく育ちました。父は旋盤技術者、母は経理事務職。父の定年退職と同時に自分も仕事をやめた母が、身体の不調を訴えたのはその後すぐの頃でした。不調といっても日常生活に支障を来すほどではなかったので、夫婦で海外旅行に出掛けたり、母がゲートボールを始めたりして、二人はいわゆる「老後の楽しみ」を満喫しつつあるようでした。母の不調の原因がパーキンソン病との告知を受けたり、父が糖尿病や心筋梗塞等に罹患しているといった報告に、その頃の私は、無関心とまでは言わないまでも、その後の自分の生活に大きく関わりを持つことになるとは思いもしま...2013.04.17 06:42コラム